Wednesday, November 3, 2010

『ライフログ プロジェクト』・『TIA(全情報認知)プロジェクト』

米国国防総省高等研究計画局=Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA)による、“すでに公表され”、“そして中止された” 2つの個人情報監視計画について紹介。集団による組織的なストーカー犯罪…PCの使用記録、通信記録、クレジット使用記録などあらゆる個人情報(ライフログ)詐取により起こり得る個人監視被害は、まさにこの個人情報監視計画の模倣による現象と考えられる。

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エコグルッペン(ECCO Gruppen)による1995年のレポート』で説明した、今から23年前のスウェーデンの議会記録よりは比較的新しい、米国の個人情報監視計画について紹介したい。それは、米国国防総省高等研究計画局=Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA) による、“すでに公表され”“そして中止された” 個人情報監視計画だ。 
現在のニューロ科学によるマインドコントロール犯罪は、この個人監視システムの悪用から、分岐した問題と考えられる。これらの個人情報監視は、(心理学と密接した)脳科学技術の驚異的な進歩によって、ヒトの脳内の思考記憶、五感の情報までも監視することを可能にし、その結果、心理の抑制(マインドコントロール)を用いた権力行使に繋がる危険性が予測出来るのだ。 

まず、初めに断っておきたいのだが、米国のDARPAを初めとする諸機関は、過去の機密公文書の公開や、現在の研究目的の公開など、“ある程度”の事実を公表することを行って来た。これは、他の隠蔽体質の機関に比べ、格段に誠意ある動きであった。 

DARPAが行った企画のひとつは、『ライフログ プロジェクト』 。
これは、個人のe-mailの送受信、撮影した写真、その他、個人が関わった情報すべてをひっくるめてデータベースを作り、さらに、GPSを利用し個人の移動をすべて追跡し、センサーを用いその人の発言や見聞した事を記録し、データベースに加えていく計画。“潜在的”なテロリストがどういう生活を送っているのかを、あらゆる次元で再構成可能にするシステム。2004年1月に計画終了。

もうひとつは、ライフログ・プロジェクト以前に行われた『TIA(全情報認知)プロジェクト』 。
“民間のデータを用いて潜在的テロリストを見つけ出す”計画だ。一般市民の金融、電話、移動、医療に関する記録を統合してテロリストを割り出す。 
2003年9月、米国議会上下院の合同委員会が閉鎖する決定を下した。

これに似た民間企業による違法個人情報データバンク計画が、2006年9月のイタリア最大の電話会社で元国営企業である『テレコム・イタリア事件』だ。また、2010年8月にはこれら個人のライフログのデータ収集に一役買うであろう技術も公開されている。 
『インターネットで個人情報の追跡ビジネスが急成長=WSJ調査』 

これら『ライフログ プロジェクト』『TIA(全情報認知)プロジェクト』『テレコム・イタリア事件』『個人情報の追跡ビジネス』などは、個人の行動を監視することにより個人情報を搾取する。すでに摘発された『テレコム・イタリア事件』同様、ここで登場したすべての個人情報搾取を日本において行おうとすると違法行為となる。これらの詳細な個人情報は、ソーシャルリサーチ目的や、知的財産の盗用目的以外にも、特定個人に対し心理的な圧迫を与える手段を考察するのに多いに役に立つ。『テレコム・イタリア事件』『個人情報の追跡ビジネス』のように、(違法ではあるが)これらの個人情報監視データの売買をするビジネスの需要があるのも頷ける。より深い個人情報を知ろうとする欲求を叶えることができたら、それを悪用しようとする監視機関(民間も含む)が出て来る事も予測し得る。それはつまり、“より深い個人情報”=“記憶や感情なども含めた個人の感覚の情報”=“五感情報通信にて搾取出来る個人情報”の搾取が行われる危険性を意味する。そして、この個人情報を追求する要望が国民監視のために活用されると、『エコグルッペン(ECCO Gruppen)による1995年のレポート』にて紹介した“市民と研究機関及び監視機関(民間も含む)との相互作用” を現実化する時代となる。