Thursday, November 11, 2010

音声送信の技術の説明 Part 4

[ 3 ] 人口内耳のCIS

電磁波を使用したV2Kは、人体に浸透可能な周波数帯のマイクロ波を超低周波帯域に変調し、パルス発振することにより可能とする。(前述した通り、聴覚に限らず、超低周波帯域でなければ、人の脳は反応しないのだ) 

音声情報を符号化したマイクロ波を、指向性の高いパルスレーザーを使用して、特定の人の頭部に向けて放射すれば、特定の一人の人間にだけ音を聴かせることができる。その他にも特定の一人にだけ音を聴かせる色々な方法が考えられるだろう
3点から電磁波を放射すると1点で交わり干渉し、別の電磁波を作り出す。その電磁干渉波が発生する場所にいる人間にだけ、特定の音声を聴かせることもできる。 

脳が音を感知するメカニズムは、音波を聴覚神経で 超低周波のパルス発振の信号に変換し、脳幹にある蝸牛神経核へ伝達することにより行われる。電磁波の信号を、脳が、声や多様な音として感知するためには、音の情報をその音によって固有の超低周波のパルス発振の信号に符号化しなければならない。この方法は人口内耳のCIS法と同じ技術なので、CIS法の説明を転載する。 人口内耳のCIS法の説明は少し難解ではあるが、外界の音を脳で感知できる信号=超低周波のパルス発振の信号に符号化する技術であるので目を通してみて欲しい。 
『音声信号をまずいくつかの周波数領域に分解し、それぞれをパルス状の矩形波に変換した後、低域周波数通過フィルターをかけます。 
こうすると、もとの音声波形は2相性のパルス列になり、各パルスの振幅はもとの音声波形の振幅に相当するようになります。 
各電極のパルスにわずかな間隔をあけ、上記の振幅変調をおこなって順次発火させるのです。 
このような処理を行うと各電極の発火がオーバーラップすることがないので電極間の干渉がなくなり、音声信号を忠実に伝えることができるという考え方です。』 

CIS方式では持続0.9μ秒の高頻度パルスで情報を送る仕組みとなっていて、音声聴取に十分な情報を送ることが可能です。』 


正常な聴神経は33,000本ある。それに対し現在主流のCIS方式は1222チャンネルだ。これが、仮想120チャンネルになると音質は格段に向上し音楽さえ綺麗に聞こえるようになる。人口内耳は頭部にインプラントするために、大きさや重さに限界がある。そのため音をパルス発振の信号に符号化するチャンネル数も限られる。しかし、脳に埋め込む必要のない音声送信用機材ならば、大きさ、重さに制限はない。人工内耳よりも鮮明に音を伝える事が可能になる。 

音の情報を、その音の種類によって、脳で感知できる固有の超低周波のパルス発振の信号に変換する符号化は、このように既に商品化され医療機器に使われている技術だ。「音→ “超低周波のパルス発振の信号」の符号化が既にできているという事はつまり、音声送信の発する声の内容も、「超低周波のパルス発振の信号” →音」に変換し録音可能だと言える

参照:浜田至宇 著『マインドコントロールの拡張

音声送信の技術の説明 Part 3

[ 2 ] 196070年代のV2K

「人間が電磁波を聴くことができる」。これは1961年、アレンフレイによって発表された。フレイは色々な実験をした。その結果、マイクロ波をパルス波にすることが、電磁波を聴くことにとって重要だと発見した。連続波では音を聞くことは出来ない。 

また、この実験の被験者は、耳栓をすると周りの雑音が小さくなるので、かえって電磁波の音がはっきり聞こえたと言う。(周りの雑音が多いと電磁波の音が聞こえずらいのは、マスキング効果のためで、周りの音が大きいと喋り声が聞こえなくなる状態と同じ) 

フレイの電磁波によって声を聴かせる実験は、ほぼ全ての被験者で成功したが、 中には電磁波の音が聞こえなかった人もいた。通常、人が可聴な音波の周波数帯域は20Hz2000Hzだと言われているが、電磁波の音が聞こえなかった人は、500Hz以上の音波を聴くことに傷害のある人々だった。逆に、通常の生活において全く音が聞こえない人には、電磁波の音が聞こえたのである。これは、鼓膜を通す音波を聴いているのではなく、脳幹の聴覚神経で電磁波を感じて聴いていることを意味する

500Hz以上の音波を聴くことに傷害のある人が、実験中に電磁波の音が聞こえなかったのは、脳幹の聴覚神経のうち、500Hz以上の音を聞き取る機能に傷害があったと仮定できる。また、電磁波の音は聞こえたのに、通常の音波は全く聞こえないタイプの人は、鼓膜や蝸牛組織に傷害があったと仮定できる

その後1970年前半には、アーサーガイにより、モールス信号を何の受信装置もない状態で、脳だけで聞き取る実験に成功もしている。そしてこれらの技術が、現在の電磁波を使用したV2Kにつながる。(ここで説明したのは電磁波を使用した例であり、米アメリカンテクノロジー社の特許技術『ハイパーソニックサウンド』などは、これとは異なり、超音波を使用したV2Kである) 

音声送信の技術の説明 Part 2

[ 1 ] 脳内に浸透する電磁波の種

まず、基本的な電磁波の話しをしたい。脳の内部に影響を与えることができる電磁波は、マイクロ波特にUHF帯と呼ばれる0.3GHz3GHzの周波数のものに限られる。波長でいうと1メートルから10センチメートルの長さになる。この周波数帯の電磁波は、頭蓋骨や、脳を含めた人体を通り抜けるが、これより長い波長になると人体に反射し、より短い波長になると熱として人体に吸収されてしまう。つまりこの周波数帯の電磁波だけが身体の内部に影響を与えることができる。 

人の脳はというと、0せいぜい100Hzほどの超低周波数(ELF帯)に反応するようにできている。人の脳は、このELF帯のうち 040Hzの中の様々な周波数と、様々なパルス発振のパターンを組み合わることによって、聴覚や視覚や味覚や嗅覚、触覚などの感覚と、そして心理的な状態、すべての認知を行っている。(パルス波というのは、電磁波のON OFFを切り替えて発振されるものだ

どんなに脳内まで浸透しようと、周波の高いマイクロ波そのままでは、脳に影響を与えることはできない。しかし、マイクロ波のように高い周波数の電磁波を使って、低い周波数(ELF帯)の効果を生み出す別の方法がある。高周波の波の大きさ(振幅)をELF帯の周波数で変化させる方法で、これは振幅変調(AM)と呼ばれる。高い周波数の電磁波が、ELF帯を乗せて運ぶので、高い周波数の電磁波は運搬波(キャリア)と呼ばれている。音声送信のように、脳の内部に電磁信号を送る技術には、人体を通り抜けるUHF帯をキャリアにしたELF帯を使用することになる

Wednesday, November 10, 2010

音声送信の技術の説明

ニューロ科学の技術の説明や進歩の歴史について紹介していきたい。
今回は、アレン・フレイが発見したフレイ効果と呼ばれる『音声送信』の技術について話すことにする。 

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音声送信のことを「V2K」とも表記するが、これは「Voice-to-Skull」の略だ。2年以上前の Wired Vision の記事にもなっており、一部の軍事科学マニアにはメジャーな技術だろう。

『特定の対象だけに声を届ける広告板と、「神の声」兵器』 
2008110 

『マイクロ波で脳内に音を発生させる兵器「MEDUSA」:「サブリミナルメッセージも」』
2008年7月8日

最新の研究では超音波を使用したものと、マイクロ波と呼ばれる電磁波を使用した例が揚げられているが、そのうちの電磁波を使用したV2Kについて詳しく紹介する。 

Wednesday, November 3, 2010

2009年(昨年度)における五感情報通信の研究

2000年に総務省(当時の郵政省)が開発研究の方針についてまとめた『五感情報通信技術に関する調査研究会 報告書』。ここで述べられている『五感情報通信』の研究が2010年の現在、日本国内ではどうなっているのか、最近の研究内容を紹介する。

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2000年には、総務省(当時の郵政省)は『五感情報通信』研究開発の互助組織化を官民の研究機関に呼び掛けていた。その後、この研究はどのような取り組みが成されて来たのかが気になる。現在稼働中の『五感情報通信』研究について、少し検索を掛けただけでも多数上がる。その例を幾つか揚げてみよう。


●『KARO FRONT 未来ICT研究センタージャーナル』

これは2009年、春の季刊誌から。
『コミュニケーションの未来を拓く脳研究』というタイトルの記事では、未来ICT研究センター 神戸研究所のグループリーダーが、一般の人向けに大変解り易い図解で五感情報通信を説明している。MRI を使用した研究らしい。彼の脳研究の原点は心理学だそうだ。こころの動きの基礎となる脳のメカニズムを解明することに興味を持ち、この研究に取り組み始めたと言う。尚、この研究は次に揚げる大阪大学とのコラボ研究だそうだ。この季刊誌内では研究の現状についての詳しい内容は記載されてはいない。

余談だがMRI 特に、非侵襲性の機能的核磁気共鳴(fMRI)を使用した例としては、サルやヒトのミラーニューロンの研究を記した、
『テクノカレント - ヒトミラーニューロン』(2007年)
などがある。




●『独立行政法人 情報通信研究機構』

これは、2009年1月5日発表。
『国立大学法人 大阪大学と独立行政法人 情報通信研究機構との脳情報通信分野における融合研究に関する基本協定の締結 世界最高水準の脳計測技術の実現』という記事から引用する。

この大学の研究チームは『“いつでも、どこでも、誰にでも、こころも” 伝える人にやさしい情報通信を目指す産学官連携の脳情報通信融合研究プロジェクトを始動』というテーマの取り組みをしている。「脳の機能に学んだ新世代のネットワーク」や「“こころ” を伝えることができる情報通信」の実現を目指しているそうだ。“こころ” を伝えることができる情報通信の実現のために、人の目、耳といった器官を通じることを前提として視覚情報や聴覚情報の伝達を行う現在の情報通信の方法では伝えきれない、アイデア、イメージ、感動、感情など様々な心の状態を情報として伝えられるようにするため、脳の働きと伝えたい情報の相互関係を計測・分析し、把握する研究だそうだ。

これにより、新しい情報通信パラダイムの創出…つまりこれら脳情報通信に関する研究開発により、「いつでも、どこでも、誰にでも、こころも」伝える新たな情報通信パラダイムの創出を目指しているとのことだ。つまり総務省が進める五感情報通信の研究である。このチームでは、「今後3年を目途に、脳情報通信の研究開発における基盤技術となる世界最高水準の脳計測技術を確立」出来る予定だ。これは2009年1月の記事であるので、2012年初頭には、世界最高水準の脳計測技術がこの研究チームによって確立される予定である。実に頼もしい。

このチームは原則として、「脳情報通信分野にかかわる “政府の指針” を強く認識し、他の研究機関との適切な役割分担、効果的な連携の下、その具現化に主要かつ主体的な役割を果たすことを目指します」と提言している。その“政府の指針”の中に、法の整備は含まれているのだろうか。それが一番の問題である。

また「生命の尊厳の重要性を常に認識して研究を行います。」とも言っている。この指針を政府レベルでも行ってもらいたいと切に願う。大学の研究室がこのような指針を提言しているのに、なぜ国としての公表をこれ以上遅らせるのだろう。例えば、アメリカは1997年に「機密の人体実験の禁止」を、フランスは1998年に「思考を読める段階にあるニューロ科学の進展に注意を喚起」と、他国ではすでに10年以上前からこれらの指針を政府として公式に発表しているのだ。

この大学には確か、BMI専攻で世界的な活躍をする石黒チームなど優秀な研究機関が揃っている。今後、この分野での技術の躍進には期待できるだろう。是非、その途中段階の技術の公表を願いたい(…ところだが、そうも行かないのだろう)。ともかく、これらの研究に携わる若い研究者達の手により、近い未来、研究の成功、技術の公表を行ってくれるのだろうと期待して止まない。


 
●『平成23年度個別施策ヒアリング資料(優先度判定)【総務省】』

来年度(2011年)用の最新技術開発に関連した総務省発表のヒアリング資料である。
この資料によると、バイオコミュニケーション技術として、「2015年までには、高次視覚情報の理解に関わる脳活動マッピング等ICTシステムにおけるパラダイムシフトをもたらす基盤技術を確立。…脳内情報やパフォーマンスの予測する技術など脳内情報復号化モデルを構築」が目標らしい。2015年、つまり4〜5年後には確立される予定だ。そう遠い未来ではない。それらも含め、テラヘルツ波を使用したリアルタイム非侵襲センサ・イメージング技術など、多方面の最新技術研究に当てるH23年度(来年度)概算要求額は38億3千5百万円だそうだ。

また、この資料の中では、世界トップレベルの基礎研究成果として、下記を揚げている。
・高次視覚情報の認識にみられる脳の創造的な活動を定量化する指標を提案。
・低次視覚情報や運動制御情報など脳内情報復号化に成功。
つまり、脳内の電磁信号のうち、視覚情報や運動制御情報の符号化はすでに日本国内でも開発済みであることが伺える。繰り返しになるが、これらの脳内の電磁信号解読などは、個人情報保護の観点からの問題や、また、認知神経学(心理学的なニューロ科学分野)のインフォームドコンセント(説明と同意)なき人体実験の危険性についても合わせて考慮し、司法面からの取り組みも順行しなければならない研究である。が、残念なことに日本では現段階において、新しい法規制の提案、法改正の準備、または(フランスのような)この研究の危険性についての懸念表明は行われていない。今後の速やかな国家レベルでの対処を期待する。


※参照:内山治樹 著『早すぎる? おはなし』
※『五感情報通信技術に関する調査研究会 報告書』

『ライフログ プロジェクト』・『TIA(全情報認知)プロジェクト』

米国国防総省高等研究計画局=Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA)による、“すでに公表され”、“そして中止された” 2つの個人情報監視計画について紹介。集団による組織的なストーカー犯罪…PCの使用記録、通信記録、クレジット使用記録などあらゆる個人情報(ライフログ)詐取により起こり得る個人監視被害は、まさにこの個人情報監視計画の模倣による現象と考えられる。

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エコグルッペン(ECCO Gruppen)による1995年のレポート』で説明した、今から23年前のスウェーデンの議会記録よりは比較的新しい、米国の個人情報監視計画について紹介したい。それは、米国国防総省高等研究計画局=Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA) による、“すでに公表され”“そして中止された” 個人情報監視計画だ。 
現在のニューロ科学によるマインドコントロール犯罪は、この個人監視システムの悪用から、分岐した問題と考えられる。これらの個人情報監視は、(心理学と密接した)脳科学技術の驚異的な進歩によって、ヒトの脳内の思考記憶、五感の情報までも監視することを可能にし、その結果、心理の抑制(マインドコントロール)を用いた権力行使に繋がる危険性が予測出来るのだ。 

まず、初めに断っておきたいのだが、米国のDARPAを初めとする諸機関は、過去の機密公文書の公開や、現在の研究目的の公開など、“ある程度”の事実を公表することを行って来た。これは、他の隠蔽体質の機関に比べ、格段に誠意ある動きであった。 

DARPAが行った企画のひとつは、『ライフログ プロジェクト』 。
これは、個人のe-mailの送受信、撮影した写真、その他、個人が関わった情報すべてをひっくるめてデータベースを作り、さらに、GPSを利用し個人の移動をすべて追跡し、センサーを用いその人の発言や見聞した事を記録し、データベースに加えていく計画。“潜在的”なテロリストがどういう生活を送っているのかを、あらゆる次元で再構成可能にするシステム。2004年1月に計画終了。

もうひとつは、ライフログ・プロジェクト以前に行われた『TIA(全情報認知)プロジェクト』 。
“民間のデータを用いて潜在的テロリストを見つけ出す”計画だ。一般市民の金融、電話、移動、医療に関する記録を統合してテロリストを割り出す。 
2003年9月、米国議会上下院の合同委員会が閉鎖する決定を下した。

これに似た民間企業による違法個人情報データバンク計画が、2006年9月のイタリア最大の電話会社で元国営企業である『テレコム・イタリア事件』だ。また、2010年8月にはこれら個人のライフログのデータ収集に一役買うであろう技術も公開されている。 
『インターネットで個人情報の追跡ビジネスが急成長=WSJ調査』 

これら『ライフログ プロジェクト』『TIA(全情報認知)プロジェクト』『テレコム・イタリア事件』『個人情報の追跡ビジネス』などは、個人の行動を監視することにより個人情報を搾取する。すでに摘発された『テレコム・イタリア事件』同様、ここで登場したすべての個人情報搾取を日本において行おうとすると違法行為となる。これらの詳細な個人情報は、ソーシャルリサーチ目的や、知的財産の盗用目的以外にも、特定個人に対し心理的な圧迫を与える手段を考察するのに多いに役に立つ。『テレコム・イタリア事件』『個人情報の追跡ビジネス』のように、(違法ではあるが)これらの個人情報監視データの売買をするビジネスの需要があるのも頷ける。より深い個人情報を知ろうとする欲求を叶えることができたら、それを悪用しようとする監視機関(民間も含む)が出て来る事も予測し得る。それはつまり、“より深い個人情報”=“記憶や感情なども含めた個人の感覚の情報”=“五感情報通信にて搾取出来る個人情報”の搾取が行われる危険性を意味する。そして、この個人情報を追求する要望が国民監視のために活用されると、『エコグルッペン(ECCO Gruppen)による1995年のレポート』にて紹介した“市民と研究機関及び監視機関(民間も含む)との相互作用” を現実化する時代となる。

エコグルッペン(ECCO Gruppen)による1995年のレポートより抜粋

スウェーデンにおける極めて深刻なテクノロジー犯罪の形態について、今から15年前の1995年に、エコグルッペン(ECCO Gruppen)というグループによって報告されたリポートの一部を紹介する。このスウェーデンのリポートは、現在の日本で行われている五感情報通信の研究と、その技術の悪用を疑われる犯罪形態を推察するのに役立つと思われる。

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---引用開始---

スウェーデンの中等教育で使用されている心理学の教科書『自分と他人の理解のために』の中では、人間の脳とコンピュータを結びつける研究、また意識がディスクに貯蔵されて死後でも再生できるという研究が紹介されている。この考え方は、コントローラー(研究者)たちの新しい技術と関連させて理解することができる。彼らの技術は、他人の脳システムと自分の脳を結びつけて、そのターゲットとなった人物の生活を複製して自分たちで体験することを可能とする。さらにコントローラーたちは、生きている者であろうと死去した者であろうと、コンピュータに蓄えられた他人の生活を自分達でいつでも体験することができる。これは、純粋なバーチャル・リアリティということができよう。 

この他人の生活を経験する技術は、すでに10年以上の歴史がある。スウェーデンの政治家アルバ・ミルダール(Alva Myrdal)は、この能力について国家調査報告書SOU1972/57 で「電子技術の発展により、異なる種類の双方向通信やこれまで人類が経験したことのない緊密な体験を設計することも可能だろう」と論じている。 

この技術の使用、可能性に関して、我々はもうひとつスウェーデンの国家調査報告書SOU1987/31 から引用しよう。これは情報社会における乱用について述べている。「同じ個人のさまざまな時点における情報をひとつに結びつけることを必要とする多くの研究プロジェクトが存在している。例えば、選挙運動期間の支持同行追跡、複数の医療機関の判断・処置の評価、幼年期が占める後年の発展への重要性の評価、などの研究だ」  

この国家調査報告書SOU1987/31が本当に意味するところは、人々の生活を過去現在とも記録し続けている多くの研究プロジェクトが存在しているということだ。そしてこれらの個人生活の情報はディスクに貯蔵され、いつでもそのデータは呼び出すことができる。これらのディスクは公的記録局から、死後、入手することができる。 
この制度は、1986年に司法長官ステン・ウィックボム(Sten Wickbom)が出席した会議によって作られた。この会議の出席者はさらに、秘密警察SA¨POのマッツ・ボリエソン(Mats Borjesson)、公的記録局の局長、およそ30人の研究者、官僚、政治家などが含まれていた。この会議の完全な議事録は、スウェーデンの国会図書館で入手できる。 

保守党議員グンナー・ホクマーク(Gunnar Hokmark)がこの議会の冒頭で明らかにしたのは、我々スウェーデンの国民は自分に関する非常に多くの情報が処理されている稀有な国民という事実だった。 
クルト・オヴェ・ヨハンソン(Kult Ove Johansson)は、大衆紙(=タブロイド)が会議の議事録を入手する可能性について懸念を表明し「今日のこの問題に関する議題が大衆紙的に報道される大きな危険がある」と語っている。
ペテル・ウェスターホルム(Peter Westerholm)博士の発言からは、彼らが自分たちを監視能力を持つ新しい権力者として見なしていることが理解できる。「我々は人々の体験、意見、そして価値を探る必要がある。もちろんこの行為は危険性を含み、中立的ではありえない。これは多くの者からは脅威と見なされうる」。彼は人々の脳をコンピュータと結びつけることを政治的進歩と考え、つけ加えて「根本的に、これは政治的プロセスであり、市民と研究機関及び監視機関との相互作用だ。………私たちは三つの異なる役割を実際に持っている。研究をする研究者の役割、研究をされる対象となる市民の役割、そしてシステムが逸脱しないように柵を作る番人ともいうべき役割だ」。 

---引用終了---
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スウェーデンにおける極めて深刻なテクノロジー犯罪の形態について、今から15年前の1995年に、エコグルッペン(ECCO Gruppen)というグループによって報告されたリポートの一部を紹介する。この引用は、スウェーデンでの脳科学の進歩と政策との結びつきに関する部分である。現在、日本を含めたアジア、EU、アメリカ、カナダ…など複数の国々に、五感情報通信などのテクノロジーを乱用したと思われる被害を訴える人々が存在する。今から15年前の1995年に報告されたこのスウェーデンのリポートは、現在の日本で行われている五感情報通信の技術の悪用を疑われるストーカー犯罪の形態を推察するのにも役立つと思われる。


最終行の「システムが逸脱しないように……」を読んで、何か疑問が残らないだろうか。そのシステム自体がすでに常識や人権の観点から逸脱してしまっていることを、この学者は気がついていないのだ。 

このエコグルッペンのリポート中に出て来る『報告書SOU1987/31』は1987年、つまり今から23年も前のスウェーデンでの実際の議会の記録だ。当時のスウェーデンでは、この個人情報監視システムが、マスコミから批判されることを恐れていた。もしもこの個人監視システムをどこかの組織や団体が模倣しようとする。その時にも問題として上がるのは、当時のスウェーデン同様、人権侵害問題だろう。しかし、その解決策は簡単だ。人権侵害問題を口にし、異を唱えそうな団体=マスコミ、警察、精神科医、大企業や政治団体を始めとした権力者(権力組織)などには、予め、この人権犯罪に共謀する特許を与えておけば良いのだ。そして近年、ついに誰かがそれを実践してしまった。……と考えたら、どうだろう。現在、日本でも少なくない『ギャングストーキング』及び『テクノロジー犯罪』の被害を訴える人々が巻き込まれている犯罪形態を推測する、大きなヒントになると思われる。

引用文中に紹介したように、スウェーデンではすでに1995年には、中等教育で使用されている心理学の教科書の中で、人間の脳とコンピュータを結びつける研究、また意識がディスクに貯蔵されて死後でも再生できるという研究…つまり五感情報通信について記載され、教育現場にて認知されているのだ。私は、スウェーデンに見習い、日本でもこの技術の研究内容について早い段階で子供達に伝えるべきだと考える。
2000年に総務省(当時の郵政省)より発表された『五感情報通信技術に関する調査研究会報告書』では「2010年〜2015年には五感情報通信のセンシングのプロトタイプが完成」する予定であり、また、総務省による2011年度の『個別施策ヒアリング資料』では「すでに低次視覚情報や運動制御情報など脳内情報復号化に成功」している事や「2015年度までに脳内情報やパフォーマンスの予測する技術など脳内情報復号化モデルを構築」する予定などの指針が表記されている。詳しくは、当サイトの『2009年における五感情報通信の研究』に記す予定だが、この五感情報通信の技術は「有り得ない超能力レベルの話し」ではなく、充分に研究され、やがて近い未来に公表・実用される予定の「存在して当たり前」の技術である。そしてこの技術は銃同様に、兵器として悪用され兼ねない。親は子供達に「個人の脳で感知される感情を含めた五感情報は通信出来る時代であり、また、現代はその様な技術進歩により武器革命の過渡期にある」と説いて育てるべきだ。子供と言うのは大人よりは環境適応能力が高く、自分の生まれた世界がその様な環境で有ることを認知してさえいれば、それに絶望することなく生きていけるのだ。彼らは大人になるにつれ、周りの環境の道徳倫理上の矛盾点に気が付き、改善策を考え出し解決して行こうと歩き出せる。 


※参照:浜田至宇 著『マインド・コントロールの拡張』
※『五感情報通信技術に関する調査研究会報告書』
※『平成23年度個別施策ヒアリング資料』